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山月記と人虎伝
第十五章
山月記と人虎伝の異同
虎になってしまった理由
人虎伝=未亡人との密通とその家人を殺戮したこと
山月記=「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」
虎になってしまったことの主たる要因を、人虎伝では「人の道に外れた行動への天罰」としているが、山月記では「内面の葛藤」としている。この意味で、人虎伝は怪奇譚の性格が強いのに対して山月記は、芸術家、ひいては近代人の苦悩を主題としている近代小説である。
このような本章での両作品の相違こそが、人虎伝と山月記の決定的・本質的相違であると言える。
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