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French Speaking ?

カリオストロ公国のモデルとなったのは、

前述のようにリヒテンシュタイン公国であるが、

両国の最大の違いは、公用語である。

カリオストロ公国の公用語はフランス語

であると考えられる。

ドイツ語が公用語であるリヒテンシュタイン公国との最大の違いである。

カリオストロ公国の公用語がフランス語だとする根拠を次に示そうと思う。

 

そもそも「怪盗紳士 Arsène Lupin」の作者モーリス・ルブランはフランス人であり、原作も無論フランス語で執筆されている。

 

また、1906年から四半世紀にわたって執筆され続けたルブランの人気シリーズであるこの「怪盗紳士 Arsène Lupin 」のエピソードの一つに、1924年発表の「カリオストロ伯爵夫人」という作品がある。この作品の着想は、実在の偽貴族、カリオストロ伯爵に由来している。

 

さらにこの作品には、アルセーヌ・ルパン(ルパン三世の祖父)がクラリス・テティーグと結婚する逸話が含まれている。映画のクラリス大公息女の名前と一致するのは偶然ではないであろう。

 

つまりここで言えるのは、

モンキーパンチの原作「ルパン三世」ひいては、

映画「カリオストロの城」の着想は、

フランス語で執筆されたルブランの作品に由来する

のである。

 

カリオストロ公国の公用語がフランス語だと判断する理由の二つ目を説明しよう。

 

映画に登場する、ルパン三世が書いた予告状には次のように書かれている。

 

Seigneur le volupteux!

Vous voler votre fiancée.

Je me présenterai prochainement.

 

直訳:

欲望の閣下!

私はあなたの婚約者を盗みます。

私は間もなく現れます。

 

紛れもなくフランス語で書かれている。

 

ちなみに、映画中の台詞では

「色と欲の伯爵殿 花嫁は頂きます 近日参上 ルパン三世」

となっている。

直訳と台詞を比較すると、

劇中の台詞の方が格段に味のある言葉遣いとなっており、

一篇の詩の様な響きすら感じさせる。

 

 

三つめの根拠を示そう。

手負いのルパン三世の元に峰不二子が届けた口紅付きの新聞は、フランス語で書かれている。

 

発行部数35万部を誇るフランスの有力紙 Le Monde の表記も見える。

記事の詳細内容は確認できないが、日付のつづりもフランス語であり、フランス語の新聞記事と考えて間違いないだろう。

 

余談ではあるが、記事のタイトルにはつづりに間違いがある。 正しくは「CAGLIOSTRO」である。

上記三点から、

カリオストロ公国の公用語はフランス語

であると断定して間違いないだろう。

欧州の仏語圏

そこでフランス語圏とは、

ヨーロッパのどこにあるのか踏まえる必要がある。

 

左図は、欧州仏語圏を示したものである。

フランス

ベルギー

ルクセンブルグ

スイス

の4カ国が欧州では「仏語圏」である。

 

このうち、本国フランス以外の

ベルギー

ルクセンブルグ

スイス

の3国はフランス語以外の言語をも公用語としているため、

それぞれの国についてさらに細かな検証が必要であるが、

それは後述するとして、

次のページではゴート族について、検証したい。

 

 

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